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人生の花/上村 松園

人生の花(じんせいのはな)

上村 松園(うえむら しょうえん) 明治32年(1899)

作品解説

 実際に画家が花嫁衣裳の支度を手伝ったという体験から生まれた作品です。背景には何も配せず前面に大きく人物をとらえて、その着物から帯の柄、髪飾りまでこまやかに描かれています。

 前を向いて正面を見すえ、娘を送り出す母親の複雑な心境と緊張感とうつむき加減で後からついて行く娘の期待と不安の入り混じった緊張感を見事に表現して、一体の感を出しています。

作家紹介

 生没年:明治8年〜昭和24年(1875〜1949)

 京都に生まれる。幼い頃から画才を認められ、明治20年(1887)京都府画学校に入学、また鈴木松年の画聖に通う。21年後素如雲社展に初入選。26年幸野楳嶺に師事、28年楳嶺が没すると、その門下の竹内栖鳳に師事して、日本美術院協力展ほか、国内外の美術展・博覧会で受賞を重ね、実力ある閏秀画家として、名を知られるようになる。明治35年(1902)長男(日本画家の上村松篁)を出産し、36年家業の茶商を辞め、画業に専念する。

 以後、文展、帝展ほか博覧会などに出品、受賞し、円熟期を迎える。帝展委員を経て、昭和11年(1936)秋の文展招待展に、後に国の重要文化財として認定される「序之舞」を出品。19年帝室技芸員となる。清明で格調高い芸術を創造、戦後の昭和23年(1948)女性初の文化勲章を受章。

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