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玄猿図/橋本 関雪

玄猿図(げんえんず)

橋本 関雪(はしもと かんせつ) 昭和15年(1940)頃

作品解説

 しっかりとした輪郭線を描かず、ぼかした墨の濃淡だけで猿の毛並みの質感を表現したやわらかな作品です。また、それに合わせて背景も簡略化され、余白をたっぷりととることで空間の拡がりを感じさせます。

 その中でも木を掴む手足の力強さや、丸く人懐こそうな目で視線の先にあるものを捉える鋭い眼差しは、自然界の厳しさを感じさせ、今にも次の木へ飛び移っていくようです。

作家紹介

 生没年:明治16年〜昭和20年(1883〜1945)

 神戸市郊外に生まれる。明治28年(1895)四条派の画家片岡公曠に学ぶ。36年竹内栖鳳塾竹杖会に入塾、明治41年(1908)第2回文展に初入選。42年第3回文展から大正4年第9回文展まで連続褒状または2等賞を受賞。次いで、5年・6年の文展で連続特選となり、7年文展推薦となる。この間、2年以後たびたび中国を訪れる。大正8年(1919)第1回帝展から審査委員をつとめ、12年竹杖会を脱会、13年帝国美術院委員となる。

 昭和8年(1933)第14回帝展出品作が文部省買い上げとなり、9年帝室技芸員、10年帝国美術院会員となる。この間、初め中国や日本の故事などを描いたが、やがて動物画へと移行して数々の名品を制作、晩年は新南画と呼ばれる画風を深めた。

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