●● <常 設 展> 〜所蔵名品展〜 ●
   平成21年6月30日(火)〜 8月9日(日)

<展示作品ご紹介>
 
 菊池契月は長野県出身。京都に出て、花鳥画の大家である菊池芳文に師事し、格調ある歴史画や身近な日常生活の一場面での人物画を品良く描き出す自身の画境を切り拓きました。
 池のほとりでしょうか。木橋を歩く女性は着物の裾を持ち上げています。かしげた顔の視線の先には、ひょっとしたら鯉が跳ねたのかもしれません。パシャンという水音に驚きながらも裾に水がかからないように持ち上げて…と。一枚の画から物語が生まれます。
 朱の着物に柳の緑が目にまぶしいほどです。その色の対比が顔の白さ、手足の美しさを際立たせています。「薫風」というタイトル通りの爽やかな風が通りぬけていくようです。
「 薫風 」
菊池 契月[きくち けいげつ]
(1879〜1955)

 

海暾[かいとん]
横山 大観[よこやま たいかん]
(1868〜1958)

 「暾」という言葉は、朝陽のことを意味します。松林の向こうに広がる砂浜。さらに海はずっと奥まで広がっています。
 シンプルな構図、簡潔な線でありながら、太陽が地平線から昇り、打ち寄せる波がきらきらと輝く様子が見事に表現されています。晩年、80代の大観が描いた何とも穏やかな朝の海です。
 横山大観は茨城県の水戸出身です。故郷の海と自身の心境を重ねているのかもしれません。
 

 他、伊東 深水(いとう しんすい)、小倉 遊亀(おぐら ゆき)、加山 又造(かやま またぞう)、
橋本 関雪(はしもと かんせつ)、前田 青邨(まえだ せいそん)、などの作品をご紹介いたします。


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