●● <所蔵企画展> 初夏 若葉 ☆きらめく☆ ●● 平成22年6月1日(火)〜 7月5日(日)
所蔵の近現代の日本画より、初夏にふさわしい爽やかな作品を集めてご紹介いたします。 中でも今回は、伊東深水(いとう しんすい)と伊藤小坡(いとう しょうは)の描いた 女性像が並んで展示され、それぞれの作家の個性を楽しんでご覧いただけます。
「 涼宵 」軸装 昭和12年(1937)頃制作 伊藤 小坡 (いとう しょうは) ( 1877-1968 )
「 矢車草 」額装 福田 平八郎 (ふくだ へいはちろう) ( 1892-1974 )
水面に魚の影を見つけたのでしょうか。子供が 体を乗り出すようにして水面を指差しています。母親は子供の指差す方向へ目をむけながらも、 左手はしっかりと子供の方をつかみ、危なっかしい様子の子供を支えるかのようです。自身も 三人の娘の母親であった小坡ならでは視点といえるでしょう。 着物の柄に、子供は桔梗、母親は女郎花(おみなえし)が描かれていて、帯や小物類との取合せも、季節を感じさせる涼しげな意匠となっています。 色合いは抑えていますが、画面全体が品よくまとめられているところは、作家の人柄を感じるようです。
「 富士 」額装 昭和39年(1964)頃制作 前田 青邨 (まえだ せいそん)( 1885-1977 )
画面上部に大きく余白をとって、富士の姿がのびのびと描かれています。シンプルな構図ながら、 初夏のすがすがしい季節感がよく表現されています。 富士の隆々とした勢いある山肌は、前田青邨の得意とした「たらし込み」の技法を使って描かれ、 作家の技量の高さも充分に堪能できる作品です。
6/12(土)・7/3(土) 各日14:00〜(約30分) 於:名都美術館展示室