特別展 福田豊四郎と堀文子 -描く歓び、生きる歓び-

14歳で福田豊四郎の芸術に触れ感銘を受けた堀文子は、その出会いを振り返って「福田先生の絵の持っている自由な心情というか、その人が描いているという様な現代人の息吹きの感じられる実在感のある新しいスタイルに非常に共感し、そこに魅かれたんですね」と言葉を残しています。
明治37年(1904)秋田県に生まれた豊四郎は、時代に迎合することなく常に新しい日本画を探求し、進取の気性を取り入れたモダンな表現を創出しました。また生涯故郷を想い、愛惜の念を込めた詩情あふれる世界を展開、郷土愛に満ちた作品は時代を超えて人々の心に響く優しさを宿しています。そんな豊四郎から画家としての姿勢や人生哲学を学んだ文子は、高い理想を掲げ、晩年まで挑戦する姿勢を貫きました。本展では、秋田県立近代美術館が所蔵する豊四郎の名品を中心に二人の画業をたどり、文子が師と仰ぐ豊四郎の魅力をひもときます。

ポイント① 福田豊四郎の作品を一堂に

秋田県立近代美術館が所蔵する福田豊四郎の名品を、前後期を通して約40点にて紹介。東海地区ではまとめて観る機会の少ない豊四郎の作品を、生誕120年の機会にご堪能ください。

福田豊四郎 《樹氷》
昭和12年(1937) 秋田県立近代美術館 後期展示

福田豊四郎 《樹氷》昭和12年(1937) 秋田県立近代美術館 後期展示

ポイント② 堀文子の没後5年企画

東海地区で堀文子の充実したコレクションを誇る当館。これまでも数度にわたり文子芸術を紹介する展覧会を開催してきましたが、没後5年に合わせて企画した本展では新収蔵品《白鷴》も交えて当コレクションを展覧します。また、今回は秋田県立近代美術館が所蔵する文子の作品も紹介します。

堀文子 《八丈島風景B》
昭和24年(1949) 秋田県立近代美術館 前期展示

堀文子 《八丈島風景B》昭和24年(1949) 秋田県立近代美術館 前期展示

ポイント③ 二人の競演

堀文子が感銘を受けた福田豊四郎。文子の作品には豊四郎から影響を受けたと思われる表現が随所に見られ、いかに豊四郎を敬愛していたかがうかがえます。一方、豊四郎の作品にも文子の表現に近い要素が見て取れ、二人が互いに認めあう関係であったことがわかります。単なる師弟ではなく、一人の芸術家としてお互いを認め、高め合った二人の競演をお楽しみください。

福田豊四郎 《濤》
昭和13年(1938) 秋田県立近代美術館 後期展示

福田豊四郎 《濤》昭和13年(1938) 秋田県立近代美術館 後期展示

展覧会図録

福田豊四郎と堀文子の言葉を手がかりに作品を紹介、
二人の作品の愛らしさが存分に楽しめる絵本のような図録です。

展覧会図録