没後50年 伊東深水 -幻の名品《湯の香》初公開-

昭和2年(1927)に開催された郷土会第12回展出品作《湯の香》は、5人の女性が湯浴みする様を大画面に配した意欲作で、30歳を目前とする深水の特徴が顕著に表れた代表作です。長らく所在不明でしたが、近頃発見され当館に収まりました。繊細な自然描写を背景とし、湯けむり越しに表現された色香漂う女性たち。没後50年を記念する回顧展で披露するに相応しい本作品とともに、《湯気》《麗日》など各時代を彩る優品、大下絵や素描なども展示し、深水の多彩な魅力をひも解きます。

《湯気》大正13年(1924) 名都美術館蔵

《湯気》大正13年(1924)

湯上りの女性が放つほのかな色香を情緒豊かに表現した一作です。何気ない仕草に深水の鋭いまなざしが感じられます。

《初雪》昭和20年(1945)頃 名都美術館蔵

《初雪》昭和20年(1945)頃

傘を差す女性の姿は浮世絵でも親しまれ深水の作品にもたびたび登場します。
本作では御高祖頭巾が目を引く女性が配され、雪に埋もれた南天を優しく見つめる姿が印象的です。

《緑蔭》昭和32年(1957)頃< 名都美術館蔵

《緑蔭》(りょくいん)昭和32年(1957)頃

数多く芸妓に取材し美人画を描き続けた深水ですが、彼女たちに注がれる眼差しは常に温かく、たくましく生きる姿に賞賛をおくっているようです。

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展覧会とともにお楽しみください。

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